『初日出勤』


面接の翌週、わたしは指定された黒のスカートに白ブラウスで事務所のドアを押した。
社長が経営している会社のうち、それだけで経営の成り立っている会社は制服を用意しているらしい。
「おはようございます。」
今日からは同じ事務員さんの立場の綺麗な彼女に声をかけ、向かいの机に座る。
と言っても、まだわたしには仕事がない。
知人の息子さんが、無事にご結婚されてから、特に会員数も増えていないので、事務所自体はそれほど忙しくはないらしいのだ。
とりあえず、彼女から簡単に仕事内容を説明してもらう。
秘密厳守だという顧客ファイルには、写真つきの顧客データがあった。
わたしが想像していたようなお客さまではなく、かなり年配の女性が多かった。
聞くと、いわゆるバツイチ(もしくはバツ2)と呼ばれている方たちが大半だそうだ。
それに対して男性は、一番若くて30代後半から60才近くの人までいて、初婚の方が多いそうだ。
やはり、若い方たちは大手の結婚相談所や、パーティーを主催したりするところに集まるみたいで、そんなところへはとても参加できない気の小さい人や、年配の方たちのための相談所にしたいという社長の考えは、ある意味立派だと思った。




















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